左の写真向かって右から3名の一家は、ビルマ(ミャンマー)からやってきた私の友人です。昨日、左から2番目の彼女、友人CCTさんから携帯メールで「みなさんのおかげでざいとくがおりました」と告げられました。
思わず私の顔から笑みがこぼれ、「神様ありがとう、Alhamdulillah!」と心の中で叫びました。やっぱり神様っているんだな・・・・。Alhamdulillah(アルハムドュリッラー)ってのはアラビア語で「神様のおかげ、神様ありがとう」という意味で、世界中のイスラム教徒がよく使う言い回しです。なぜ私がムスリム用語を使ってるのかって?それはまたおいおい説明しますが、現在マレーシア人の友人にイスラム教とマレー語を学んでいるから、ということと、その言葉の響きがとても美しいからです。
この一家は今から約10年前、ビルマから日本へやってきました。ご存知のようにビルマは軍事独裁政権が長年続いていて、国民は政治批判はもちろん、デモや集会や自由な言論・報道もままならない状態です。しかもCCTさんの祖父は民主化運動家で、孫娘のCCTさんも当局にマークされており、もし一家がビルマへ送還されたら確実に投獄され、拷問の日々、最悪の場合死が待っていることでしょう。
私がCCTさん一家と出会ったのは、地元地域に住む外国人住民の生活相談窓口の通訳ボランティアとして働いていた頃です。私は、日本人の夫を持つフィリピン人の友人とともに、区役所窓口で英語と中国語の通訳を務めていました。
ある日彼女が「面白い会があるから寄ってって」と言って、連れて行ってくれました。その会はAPFS(Asian People Friendship Society)という、主に不法残留外国人の特別在留許可を要求したり、外国人労働者の賃金未払いなどのトラブルを解決するNGOが主催の国際交流パーティーでした。
公式HPはこちら→http://www.jca.apc.org/apfs/
どうやらここでは、不法残留者や不法就労者を「非正規滞在外国籍住民」などと呼んでいるらしい。もはや日本は移民なしでは成り立たないんだ!国際化の時代に逆行するな!という叫び声が聴こえてきそう。何だか問題の本質をわざとぼかしているようで、胡散臭い・・・・。
ま、それはともかく、CCTさん一家と仲良くなり、たびたびメールを交換する仲になりました。約束や待ち合わせ時間は必ず守り(日本人より時間厳守)、ビルマの祝日にはビルマ料理をふるまってくれる、大変真面目で親切な人びとでした。
そんなCCTさん達が長年の苦闘の末、やっと念願の在留特別許可(special permission for residence)を得ることができました。
さて、CCTさんの祖国ビルマは、なぜ軍事独裁政権が長く続いているのか?それを考察するには、イギリスによるビルマ侵略および植民地統治から始めなければなりません。
1600年東インド会社というアジア植民地統治株式会社を設立し、19世紀初頭すでにムガール帝国のインド、バングラデシュを支配したイギリスは、1824年ビルマに侵攻、3度の戦争(英緬戦争/Angro-Burmese Wars)を経てビルマ王朝を滅ぼし、国王と王妃はインドのボンベイ(ムンバイ)へ流刑、王子や男系一族を虐殺、王女は英植民地軍兵士の愛人にされて貧困の中で死に、その娘、つまり国王の孫娘ツツは「最貧困層に身を落とし、スラムで造花を売って生計を立てている」(インド英字新聞The Hidustan Timesより)という、あまりにも悲惨で過酷な支配を始めました。
もしこの時代に日本が国策を誤ってイギリスやその他白人国家に侵攻されていたら、天皇家は確実に滅ぼされ、日本人のアイデンティティー・国家への帰属心や求心力・民族の誇りは粉々に砕かれ、二度と再建できなかったことでしょう。そして植民地にされ、現在の経済大国日本は決してありえませんでした。
しかし大東亜戦争(太平洋戦争)のさなか、ビルマは日本の支援を得て、かのアウンサンスーチーの父・アウンサンは独立義勇軍を結成してゲリラ活動を開始し、これがビルマ独立の基礎となります。しかし日本の敗色が濃くなるとイギリス連合国側に寝返ったのです。最後まで日本側についていると、戦後敗戦国として裁かれ、再び植民地に戻ってしまいますからね。日本としては心苦しいですが。
しかし今日のビルマ人は大変親日的で、日本のおかげで祖国が独立できたと認識しています。作家の深田裕介氏も驚いていましたが、今もビルマ独立記念日でビルマ軍の行進曲として流れる曲は、日本の軍艦マーチ「守るも攻めるも鉄(くろがね)の~浮かべる城ぞ頼みなる~」です。
しかし独立後もビルマの歩みは決して平坦ではありませんでした。帝京大学教授で元産経新聞編集委員の高山正之氏のコラムから引用します。
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<前略>おとなしいビルマ人がこの王家の悲劇を語るとき、本当に怒りで唇を震わせる。
英国は国王を追放したとき、ついでに黄金の玉座も失敬した。戦後ビルマ政府は国連を通じて玉座の変換を英国に求めたが、戻ってきた玉座は穴だらけ。はめ込まれたルビー、ダイヤモンドなどの宝石が全て盗られていた。
そういう過去があるから、ビルマは独立するとすぐに英国の臭いのするものは全て排斥した。ヤンゴンの外国語大学も、英語を教科から外し、日本語を入れた。交通ルールもそのとくに英国流の左側通行から右側通行に変えた。
国父アウンサンの暗殺後、英国に渡ったきりの一人娘スー・チーが三十年もたって英国人の妻になって戻ってきたとき、ビルマ人は正直、戸惑った。彼女は英国人になりきっていたからだ。
「政治集会やデモの場合、どこの国もそうだが、ここも届け出制にしている。しかし、彼女は故意にそれを無視する。政府がたまりかねて規制すると『民主主義を弾圧した』と騒ぎ立てる」(山口洋一前ミャンマー大使)。骨の髄まで嫌みな英国人なのである。
英国に次いでビルマの人々は中国を嫌う。中国人は植民地時代に入り込み、英国人のよき手先となってビルマ人を搾取した。英国人が引き揚げたあとも彼らは居座って経済実権を握り続けた。
ネ・ウィンが鎖国政策をとったのも、ビルマ経済を停滞させて商売のうまみを消し、彼らが愛想を尽かして出ていくのを待つ、という意味があった。
だから生活は貧しく不便だったが、国民は我慢した。それが自分の国を取り戻すためだと知っていたし、同じような状況のベトナムが華僑追放という強制手段を選んで、戦争(中越紛争)に巻き込まれたのよりは、ましな方法だと認識していたからだ。
しかし、中国人はビルマ乗っ取りにもう一つ、手段を講じた。共産ゲリラの侵入だ。彼らは社会不安をあおりながら南下し、七〇年代にはヤンゴンのすぐ北のペグーにまで進出した。これを掃討したのが今の政権を担当するタンシュエである。
中国人といえば、タイの華僑もしたたかだ。モン、カチンなど山岳民族をけしかけてビルマ人政府と対立させ、武器弾薬を売ってはチーク材を手に入れていた。「中国」というだけでビルマ人は顔をしかめたものである。
ところが九七年に当時のD・エーブル計画経済相に会ったとき、側近から「中国の批判は避けてほしい」といわれた。
スー・チー問題を口実に欧米がミャンマーに経済制裁を科し、日本が右にならえをしていたころである。この国の経済はそれでほぼ破綻しようとしていた。その窮状に援助の手を差し伸べたのがほかならない中国だった。
“英国人スー・チー”に屈するのか、嫌いな中国の援助を受けるのか、究極の選択を強いられたビルマ人は結局、中国を選んだ。
今、ヤンゴンの表玄関、イラワジ川にかかる鉄橋が中国の支援で建造された。
ネ・ウィンと国民が死ぬ思いで耐え、そして出ていってもらった中国人がそれを渡ってわんさと戻ってきた。王都マンダレーの街中には漢字の広告が大威張りで立ち並んだ。中国の経済植民地化にもがくミャンマーの姿である。
だから、中国の批判をこっちが言えば、政府首脳は何とも答えられない。「その辺のところを察してほしい」というわけだ。
そのビルマに、もっと苦しいはずのユーゴスラビアが3,000ドルもの経済援助を約束した。
妙な話には裏があって、「実は日本から巨額のODAを引き出している中国が背後にいて」(産経バンコク特派員電)、ユーゴを迂回して援助しているという。
中国政府は強い調子でこの説を否定するが、日本のカネが回り回ってビルマの首を締め上げているのは間違いない。
腹に一物も二物もある国々の言いなりになっていれば、日本はいい子でいられる。でも、そのおかげでどこかの国が今、植民地になろうとしている。
(高山正之「異論自在」 ~ミャンマーの悲劇 どこかの国が「いい子」のせいで・・・ より)
-------中国が1998年から2003年の6年間に、アフリカ諸国や中米などに支出した対外援助額は、計271億元(4,250億円相当)に上るそうです。 日本は中国に24年間で計3兆3億円のODAを援助しており、世界開発銀行等の分を含めれば、6兆円をはるかに超えます。 その中国が、いったい何様のつもりなのか、昨年は815億円相当も他国に経済援助をしています。 これは大半は小口の無償援助分で、中国企業が受注する“ひも付き”の大型プロジェクトは含まれていないので、援助実態はさらに巨額になるそうです。 そしてビルマにも大規模な発電所建設支援に乗り出しています。 ビルマの総発電量の約4割は日本の支援で建設された発電所によるものですが、中国の有償援助で進められている11カ所の発電所が完成すれば、中国の援助を受けた総発電量は6割に跳ね上がります。
このように中国はビルマの軍事独裁政権を支援し、軍艦をビルマの海に浮かべ、ビルマを踏み台にし
て石油輸送ルート、いわゆるアジアのライフライン(生命線)を掌握することによってアジアの覇権を握りつつあります。ビルマを支援するように見せて、実は中国はビルマを再び植民地にしようとしています。
これと同じように、中国は印パ国境のカシミール地帯を巡る紛争で、パキスタンを軍事的・経済的に支援=支配しています。どちらも石油ルートを確保するためです。
しかも中国は日本からの支援ODAを、これら「踏み台」としている国々に支給しているのです。日本国民、納税者の1人として、あこぎな中国と無計画で初心(うぶ)で意気地なしの日本に対し、非常に憤慨しています。
今日のビルマは、中国から傀儡扱いされ、イギリス植民地時代の傷跡に苦しみ、国内にイギリスが送り込んだ人間爆弾・華僑&印僑という不安分子を抱え、経済成長はほとんど中国系資本に支えられて民族系資本が育たず、にっちもさっちもいかない状態です。
そんなビルマの首都ヤンゴン(旧ラングーン)で、2007年8月15日に僧侶による民主化要求デモが始まりました。
ビルマ政府は軍隊を派遣してそれを阻止しようとし、発砲。同年9月27日、APF通信の契約ビデオジャーナリスト・長井健司さんが射殺され、遺品のカメラが軍に没収されました。
CCTさんら原告は在留特別許可をめぐる裁判で、すかさず「このような事件から見ても判るとおり、ジャーナリストまでも無残に殺す軍事独裁政府が支配するミャンマーに原告を送還するのは、明らかに人権侵害である」と主張しました。
そして2007年11月13日火曜日の判決・・・・・「原告に在留を特別に許可する」。
私は翌日CCTさんに電話をかけ、祝いの言葉を述べた。「おめでとう!これで息子さんを大学に行かせられるし、CCTさんの夢もかなうね。」
CCTさんはいつも奥ゆかしい人で、いつも感謝の気持ちを忘れない。ひたすらありがとう、ありがとうと言うばかり。来月には弁護士やAPFSのスタッフを招いて感謝パーティーを開き、銘酒ミャンマービールと手作りビルマ料理をふるまってくれるそうだ。
何という謙虚なひと。私はかつて在日韓国人の歴史教科書改訂に反対するデモ行進を見たことがある。扶桑社出版の「新しい歴史教科書」の内容がケシカラン、歴史を歪曲し在日に対する民族差別を助長する云々、を主張していた。後に彼らの要求はほぼ通るのだが、彼らからまともな礼を言われた日本人支援者はどれほど存在するのだろう。そもそも在日は自分達が日本に永住できることのすばらしさを、このCCTさんのように痛感しているのだろうか。このような在日さんは全体のごく一部だと解っているが・・・・。
話をCCTさんに戻そう。
私は彼女に在特が下りた事が、まるで我が事のように嬉しかった。こんなに幸せな、清々しい気分になったのは久しぶりだった。なので勤務先の近くの神社へお礼のあいさつをしに行った。
まるで神様の申し合わせのように、突然起こったヤンゴンの「サフラン革命(Saffron Revolution)」(僧侶の袈裟の色がサフラン=ウコン色なので、欧米メディアではそう呼ぶ。東欧のチューリップ革命、オレンジ革命とかけているのか?)。
長井さんとその遺族にとっては少々語弊があるが、CCTさんを応援してきた私にとっては、まさに天佑としか言いようがない。
CCTさん以上に、私自身が神様にありがとう、ありがとうと言いたい気分だった。
在特をきっかけに、これからCCTさん一家は日本社会の一員として、改めてスタートを切ることになります。
私は心からあなたがたの門出を応援します。
そして日本で思い切り人生を楽しみ、たくさんの夢をかなえ、ビルマと日本の架け橋になって下さい。
3 comments:
詳しく背景まで読ませていただきました.
ご友人に,おめでとうといわせてください.
ほんとにほんとに,良かったですね。゚(゚´Д`゚)゚。
ご友人の”ありがとう”には,私たちがはかれないほどの感謝の気持がこめられていることでしょう.
今後も日本で生き生きと生活をし,ご家族で命を輝かせて欲しいですね.
かの国の人たちは,命の保障どころか,日本人以上の特権まで与えられても感謝どころか・・・.
要求→ごねる→通る→また要求・・・
_| ̄|○ il||li きりがないですね><
温かいコメントをTerima kasih(ありがとうございます:マレーシア&インドネシア語)。
友人にママからの「おめでとう」伝えておきます。
某半島出身者とその子孫にも、彼女一家の生き様を見習って欲しいです。
しかし同じ特亜でも、大陸出身(華僑)は本当の、普遍的な民族への誇りと、在日外国人である自覚があるためか、半島人のような電波は飛ばしませんね。むしろ外国人参政権付与に反対する者もいて、彼らとは日本社会でうまく共存共栄できますね。
ところで「在日特権を許さない市民の会」、略して「在特会」という有志団体をご存知ですか?検索すれば公式HPがヒットします。
来年からは「凶悪犯罪を犯した在日朝鮮人・韓国人の強制退去」を求めて、本格的に在日特権廃止に取り組むそうです。
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つい最近、佐賀県で在日特権(役人が脱税のため在日に対し住民税を半減させていた)が発覚し、いよいよ在日特権なるものがただの都市伝説ではないことが発覚し、日本人にとって追い風となりそうです。
ではまたカキコお待ちしております!
在特会,コリアンザサードさんのところで見たことがあります.^^
伊賀の在日特権発覚は,今後芋づる式に在日特権をあぶりだせるでしょうか?^^
これはひとつ登録してみる必要がありそうですね!!
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