January 15, 2008

例の亡命ビルマ人の家を訪問


(写真はビルマの古都マンダレー・王宮正門)

先日13日に、当ブログで度々取り上げた日本在住17年の亡命ビルマ人女性・CCTさんの家へ遊びに行った。
やっと彼女の来歴についてじっくり質問&話ができる。

築数十年の小奇麗なアパートに彼女は夫・息子とともに暮らしていた。
扉を開けると、ほんのりカレースパイスとココナッツミルクの香りがした。

居間に通され、ビルマ産のジャスミンティーが出された。急須に茶葉を入れてお湯を注ぐのではなく、マグカップにそのまま茶葉を入れ、お湯を注ぐという方法だった。これがビルマ式飲茶なのか・・・?

ジャスミン茶でお互いの体を温め、私が手土産に持ってきたビアード・パパのエクレア風シュークリームを頬張りながら、とりとめのない女同士のおしゃべりが始まると、彼女の旦那様が帰ってきた。
旦那の帰宅をきっかけに、私はいよいよCCT一家のビルマでの日々、来日、在留特別許可をめぐる裁判、現在に至るまでの経緯を聞いてみた。



◆夢も希望もないビルマ

CCTさんは1950年代某日、ビルマの王都マンダレーに生まれた。
同じマンダレー出身の現在の夫と出会い、結婚。
旦那は当時大学生で、学生運動に熱心だった。

しかし1988年9月18日、軍部によるクーデターが起きる。
軍事独裁政権はかのアウン・サン・スー・チーを初め、邪魔なインテリ層へ対し弾圧を始めた。
外国人と一緒にホテルに泊まっただけで監獄へぶち込まれる。拷問される。
外国人と一緒に写っている写真や、外国について書かれている日記を持っていただけで、警察にしょっぴかれる。
大学は閉鎖され、反政府運動を起こす学生の集まりの場を奪われる。
かといって軍事政権はかつての韓国やインドネシアのように経済政策を適切に打っていくわけでもなく、国の富を独占し、軍部の幹部子弟は欧米諸国へ留学・在住させ、ついに欧米諸国から経済制裁を課せられ、国力をどんどん衰退させていく。

CCTさん夫妻も祖父の代から民主派で、民主化を望んでいるという容疑をかけられ投獄された。

釈放された後、旦那は日本行きを目指す。こんなふざけた体制下の国にいつまでもいられない、と失望して。


◆生活基盤を日本に据えて

旦那は両親や親戚や友人から金を借りまくり、日本への片道切符を購入する。
妻のCCTさんはしばらく両親と共にビルマに残り、旦那の様子を見守ることにした。

旦那は日本で一生懸命働いた。
決して不法入国や不法残留を支持するわけではないが、多くのこうした外国人は日本政府から難民申請もまともに聞き入れられないまま、じっと耐えて、犯罪を起こすでもなく真面目に働いている。

ある程度日本での生活に慣れると、旦那はCCTさんと、ビルマで生まれ育った息子(当時14歳)を日本へ呼び寄せた。


◆在留特別許可を求めて

ある日突然、CCT一家は警察と入国管理局員に踏み込まれる。
「不法滞在○年」で、品川の東京入国管理局の収容所に押し込められた。
母国ビルマでの獄中生活に次ぎ、日本でも塀の中生活を体験させられる。

そこで彼女たちを応援する日本人有志によって、在留特別許可(特定の理由によって日本で不法残留せざるを得なくなった外国人に対し与えられる永住ビザ)を一家へ求める裁判が始まった。
(裁判の詳しい経緯はこちら vol.1 vol.2

そして2006年11月7日、ついに一家全員に在留特別許可が下りる。
不法残留外国人に対する取締りが厳しくなっている今日、このように一家全員が認められるケースは極めて稀だそうだ。


※CCT一家、NHK衛生テレビニュースに出演(YouTube)

まだ在留特別許可が下りる前の一家を取材。CCTさん宅でYouTubeにアクセスしたら偶然見つけたもの。
「在日ミャンマー人 祖国への思い」


◆衝撃的映像発見!(YouTube)

こんな衝撃的な映像を発見!軍事政権が放送を禁止した政府批判映像である。
CCTさん夫妻曰く、軍事政権の中枢にいる人からの内部告発ではないかという。
88年のクーデターから始まったこの国のあらゆる不正、不条理が描かれている。不当に国外へ持ち出される翡翠や真珠、軍事政権のトップ、タン・シュエの娘の派手で贅沢な結婚式、その裕福な孫達と貧しいビルマの一般民衆の子供達・・・。
(リンクはこちら)


◆(仏壇)日本は灰、ビルマは米

居間にきれいな仏壇があったのでご挨拶した。日本の仏壇は線香を灰の山に挿すが、ビルマでは米の山に挿す。


◆油っこくて美味しいビルマ料理

CCTさん宅で、夕食までご馳走になってしまった。鶏肉と砂肝のカレーと、ココナッツミルクで炊いた玉ねぎご飯。
ビルマ料理は全体的に油っこく、玉ねぎを多用する。今回頂いたカレーはカレーと油が層に分かれていて、油層の上にカレールーと具が浮かんでいた。そいつをご飯にかけて食べる。
味は・・・・スパイスの刺激が無いインド風チキンカレーといったところか?なかなか美味しい。
でもこの油には参った!あまりの油っこさに、たいていの日本人の胃袋はビックリして胃もたれしてしまうだろう。気をつけて、食べ過ぎないように・・・。


◆さよならありがとCCTさん

最後の食後茶を一服しながらテレビを見る。日英ハーフのタレント・ベッキーが、タイ、カンボジア、ベトナムを一食500円で食事しながら旅するという番組。
眠くなる前に帰らなきゃ。そろそろおいとましよう。

今日は本当にどうもありがとうございました、CCTさん。

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